ばななの話

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全日本ラブリーキューティー選手権1位、かわいすぎる大使に任命された我が家のばなちゃんは8月で14歳になりました。人間でいうと72歳くらいだそうです。人間の歳で表すのに意味があるのかはわからんが。

 彼女は年齢を重ねるごとにドンドコ見た目の可愛さレベルが向上している魔性の犬。いや、ほんとに。飼い主の贔屓目があるにしたって違う!ちっちゃい時は「ブスカワ」ジャンルに属していたのに、今じゃ「マジカワ」ジャンルにいるもん。写真を見比べると全くの別犬だもん。私はこの14年で毛穴レスな肌を失い、あぶらとり紙にガッツリと、カレーパンのようにあぶらが付着するようになったっていうのによ!!!!近ごろはエンドレスな吹き出物に悩まされている!!!!!それなのにお前はかわいくなる一方だ!!!!!!!!
  
 そんなばなちゃんは、実は色々な疾患を抱えている。9歳の頃に良性の乳腺腫瘍と子宮蓄膿症が発覚し、切除手術。無事完治。ところがそのせいかなんなのか、退院して1日後に両目とも網膜が剥離して全盲に。11歳になるころには緑内障で眼圧がすこぶる高くなった。そして心臓の肥大と胆のうの機能悪化なども見つかった。数か月前には心臓の悪い子がかかりやすいという肺水腫になりかけ入院。今は1日3回、目薬3種類(一時期は5種類もあったが!)とお薬毎食4種類。
 こんなことを書くとやつれたばななのイメージを抱かれそうだが、母ヨーコが買ってきてくれる1缶600円(私たちの食べているものより高級だぞ!と専ら話題)のおいし~~くて体にい~~いご飯のおかげと、毎日頑張ってお薬を飲んだり、通院しているおかげで、ばなちゃんはふっくらつやつや食欲旺盛な元気ちゃんである。

そんなばなちゃんに、また乳腺腫瘍が見つかった。乳腺腫瘍には良性と悪性(つまり癌)があって、その中でもまた種類がある。どちらにせよ、手術は本当ならばするべきである。ただ、ばなちゃんは心臓も弱いし、高齢犬だから「手術をするべきかどうか」検査結果が出るまで、これが我が家のトピックだった。

 

そして一昨日、結果が出た。「炎症性乳がんの可能性が高い」というのが、病理検査の結果と診察をもとにした先生の診断だった。

私はずっと、結果が出るまで祈っていた。炎症性乳がんじゃありませんように、と願っていた。炎症性乳がんは犬の乳がんの中でも発生率が10%以下とまれだから、きっと違うはずだと信じるようにしていた。


 手術をすると炎症が広がってしまうのが炎症性乳がんだ。下手すれば傷すら治らなくなるから、手術ができない。手術をする、しないじゃあない。できないのだ。有効な治療方法はない。ちょっとでも炎症を抑え、進行を食い止められるように薬を飲むしかない。転移しやすく、2週間から3か月で肺やリンパに転移する可能性が高い。そして多くの子が診断を受けて、数か月で亡くなる。


 何とかならないか、何かいい治療方法はないか、必死に検索をしても「最悪の癌」みたいな言葉ばっかり、出てきやがる。炎症性乳がんと診断されたワンコの飼い主のブログも色々読んだが「診断を受けた日」そして「旅立った日」の記事の間隔が、3か月、4か月、8か月。ひと桁。

私はおかしいと思う。ばなちゃんは元気だ。疾患も沢山あるけれど、朝になればご飯を強請り、隙さえあれば私の手をべろべろと舐め、おやすみのチューもしてくれる。体重もしっかりしていて、手術をした7歳の時より、ずっと毛並みもいい。レントゲンで調べてもらったところ、肺もリンパにも転移していない可能性が高いそうだ。そう。転移していない。だから、元となる癌さえ取ってしまえばいい。でも、手術ができない。手術しちゃいけない。手術は禁忌。そんなことってある?70%の子が3か月以内に亡くなる?今こんな元気なのに?元気なのに?元気なのに?そもそも、本当に炎症性乳がんなの?違くない?元気だもんこの子。似ているようで違う何かじゃない?

 

そういうことばかりをぐるぐる考えていて、仕事の昼休み中も調べては地味にべそをかき、帰りの電車でもべそをかき、朝の駅でもべそをかき、家でわあわあ騒いでいる。

ばなながまだ4歳くらいのころ、眠っている姿を見ていたら無性に愛おしく、そして切なくなって「ああ、この子もいつか」と思ってじくじくと泣いたことがある。近年、それが現実的になっているような気がして怖かった。常に目をそらしてきた。けれど、たったペラ紙1枚の病理検査の結果は確実にわたしが恐れていたものを突きつけてくる。

母ヨーコに「今は泣くんじゃなくてどうやったらばなちゃんが快適に過ごせるかでしょう、私たちが覚悟しなきゃ」と言われ確かにな~その通りだなと思いつつ相変わらずべそをかいている。もうゆるゆるだ…本当…。

 

何が言いたいのだか全くわからないようなブログになってしまったが、いまさら結論を言うと、ばなちゃんと今まで会ったことがあるみなさん、ぜひ遊びに来てください。ばなちゃんは人が割と好きで、昔から私の友達などが遊びに来ると大はしゃぎだった。年を取って暴れはしゃぐことは無くなってしまったけれど、今でもぺろぺろと手を舐めまくってお出迎えし、我が物顔で膝の上を陣取る。長生きしてほしいけど、本当はどうでもよくないけど、この際あと何か月~とかそんなのはよくて、ただただばなちゃんが「私めっちゃ愛されてるーーーーーー!」と、思って日々を過ごしてほしい。飼い主の勝手なエゴな気がしてしょうがないが、でも、お暇な時にでも、べろっべろに舐められにやってきて下さい。直接聞きまくるのはなんだかおこがましいような気がして、こんなまわりくどい場でお願い事を、してみます。

 

後は単純にわたしがんばるからね~~~~!っていうのとかなしいよ~~~~!っていうのを書いて紛らわせたいだけ!山なし!落ちなし!意味もなーーし!ひねりもなし!面白くもなし!それだけ!!!!!!!!!!!でもさ、ばなちゃんがはっぴ~~~に毎日過ごせるようにおねえちゃん、がんばるよ。ダメな姉だけど、がんばるよ。

 

 

そして私は奇跡はおこらないのだから奇跡だということも知っている。知っているけれど、しかし、それでも願わずにはいられない。私の寿命を分けてあげられたらいいのと、今はただ思っている。